学校給食は、主に2種類の方式があります。
学校に調理場がなく、給食センター(共同調理場ともいう)から配送される給食センター方式
学校の中に調理場があり、配送の必要がない自校方式
私は、どちらにも勤務した経験があります。
どちらもメリット、デメリットがあります。
どっちがいい、というのは言えないのですが、私なりの考えを最後に述べたいと思います。
食材料の単価について
私が勤めていたA市の給食センターは、市内の8小学校、4800食分を調理していました。
そして、自校方式の小学校、中学校に勤めたのは、800人〜1000人の大規模校ばかりです。
(センター)大量の食材を1箇所に納入するので、仕入れ単価が安くなる
一食あたりの給食費は、市町村によって違いますが、大体似たり寄ったりです。
センターでは材料費が安くつくので、いい食材を使えたり、デザートを付ける回数を増やせたりしました。
献立について
(センター)栄養士の思いを反映しやすく、バラエティに富んだ献立内容になる
給食センター方式の場合、市町村に配属されている栄養教諭、栄養士の人数は少ないです。
食数によって人数が変わるのですが、各センターに1〜3名ぐらい。
少ない人数で献立作成を担当するので、自分がこんな献立をしたい、という意見が通りやすかったです。
一方、自校方式の場合は、同じ市に勤める20人以上の栄養士たちが意見を出し合い検討するので、献立作成を担当する頻度が低く、新メニューを取り入れるのが、やや難しい点がありました。
(センター)大勢の調理員で効率よく調理できるので、品数が多い
センターでは、「主食(パン又はご飯)+ おかず3品 + 時々デザート + 牛乳」
が基本でした。
自校方式では、「主食(パン又はご飯) + おかず2品(時々3品) + デザート(月1回程度) + 牛乳」
給食ができてから食べるまでの時間
(自校方式)配送の手間がいらないので、調理後、出来立てが食べられる
調理機器の数と調理員の数を考えて、給食に間に合うように、加熱を始めるのですが、食数がとても多いセンターでは、朝早くからやらざるをえません。
そのためセンター方式の学校では、
8時から10時半に出来上がったものを、
11時ごろからトラックで学校へ運び、
12時半頃食べることになります。
揚げ立て、焼き立てを提供するのは難しいです。
一方、自校方式の学校は、
4時間目の授業中に仕上げたものを食べられるので、出来立ての美味しさが味わえます。
食育の面
(自校方式)子どもたちは、学校にいる栄養教諭や調理員を身近に感じるので、給食の話をしたり、感謝の気持ちを伝えたりでき、作る側も励みになる。
センター方式の学校でも、栄養教諭や調理員が学校訪問をしたり、子どもがセンターを見学したりすることがありますが、自校方式の学校では毎日、作り手と食べ手が交流できるので、食育の充実度が違います。
子どもが給食を食べて、何か疑問に思った時、おいしかったと伝えたい時、学校に栄養教諭がいれば休み時間にすぐ会いに行けます。
食べ残しの量
(自校方式)給食の食べ残しが少ない
上に書いたことと関係しますが、できたてはやはり美味しい、ということと、
自校方式の場合、偏食指導を栄養教諭と担任が連携して上手く進めることができたりします。
また、給食についての情報を共有しやすいので、子どもたちが献立の意味を分かって食べたり、
あの調理員さんが作ってくれてるから残したら申し訳ない、といった心理面もあると思います。
センター方式の給食の残量はとても多かったです。
美味しい給食を提供しているのに、どうしてこんなに残るんだろう、と20代の頃は悩みました。
自校方式の学校に転勤してからその理由が分かリました。
まとめ
タイトルに、「どっちが美味しい?」と書きましたが、その答えは「どちらも美味しい」です。
でも、それは同じ条件で出来立てを食べた場合です。
だから、給食時間に食べて比較するなら、自校方式の方が美味しいです。
煮物や汁物はそんなに差が出ませんが、焼き物、揚げ物はかなり差が出ます。
行政的には、一点集中のセンター方式の方がコストがかからなくてよいでしょう。
市町村のいろんな事情があって、給食調理の方式が違うわけですが、
私は、子どもたちの顔が見える学校に勤めるのが楽しかったです。
この記事を書きながら、長年お世話になった、センターの調理員さん、学校の調理員さん、学校の先生、子どもたち、たくさんの顔が浮かんできました。
皆さん、元気で頑張っていることを願っています。